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SASEBO個体差調査報告
横浜国立大学 大学院環境情報研究院 松本研究室のハードウェアセキュリティチームでは,2007年の夏から秋にかけて,サイドチャネル攻撃用標準評価ボード[注1]の初代SASEBOボード(最初に製造された80枚全部)について,電力解析攻撃実験の可否と,特に個体差の有無を確認するための調査を行いました.
[注1] サイドチャネル攻撃用標準評価ボード SASEBO(Side-channel Attack Standard Evaluation BOard)は,経済産業省の委託事業の中で産業技術総合研究所 情報セキュリティ研究センターと東北大学が開発した電力解析攻撃の実験用FPGAボードである.
第1群の測定内容
8月末に配布予定の30枚を第1群として,2日間でオシロ2台を活用して集中的に測定を行いました.このときの測定条件と分析結果は,コンピュータセキュリティシンポジウム2007(CSS2007)にて発表しています.
- 測定期間:2007年8月4日(土)~5日(日)
- 実施場所:横浜国立大学 総合研究棟S205(暗号と情報セキュリティ実験室)
- 測定対象:SASEBO 30枚(G06~G25,G31~G40)
- 項目:
- (OSR01号機) SASEBOの測定用FPGAにAES-11(AESの11クロック実装)を搭載してVCC側シャント抵抗端,GND側シャント抵抗端の電圧変動を測定する.
- (OSR02号機) SASEBOの測定用FPGAにAES-10(AESの10クロック実装)を搭載してVCC側シャント抵抗端,GND側シャント抵抗端の電圧変動を測定する.
- サセボの設定:AES-11,AES-10など,詳細はCSS2007予稿を参照.
- オシロの設定:
- 垂直軸:
- CH1(黄): DC1M 1.00V/div -3.00V ofst ・・・トリガー用
- CH2(赤): DC1M 50.0mV/div -1.50V ofst ・・・GND側
- CH3(青): DC1M 50.0mV/div -100mV ofst ・・・VCC側
- 水平軸:
- Time/Division: 1 us/div (10usをカバー)
- Sampling Rate:5GS/s
- 資料:
- 2007/08/27,調査結果概要・・・個体差調査の経過報告(シャント抵抗の影響)
- 2007/09/20,シャント抵抗・・・各ボードに搭載されているシャント抵抗(A or B)の表
- 参考:
- (CSS2007予稿) 高橋芳夫,鳥越 慎,石和田大気,渡部良太,松本 勉,“電力解析攻撃実験用ボードの個体差評価について, ”情報処理学会 第10回コンピュータセキュリティシンポジウム2007 (CSS2007), 2D-3, 2007年.
第2群の測定内容
残り50枚を第2群として,空き時間を見つけて測定を進めました.オシロは1台を使用し,シャント用抵抗の差異に影響されないように,別途用意した1本の抵抗に差し換えて測定しました.
- 測定期間:2007年9月18日(火)~10月3日(水)
- 実施場所:横浜国立大学 総合研究棟S205(暗号と情報セキュリティ実験室)
- 測定対象:SASEBO 50枚(G01~G05,G26~G30,G41~G80)
- 項目:
- (OSR02号機) SASEBOの測定用FPGAにAES-11,AES-10の2種類のAES実装を搭載してGND側シャント抵抗端の電圧変動を測定する.
- サセボの設定:第1群との差異は,a)シャント抵抗(R14)に別途用意した1.5Ωの抵抗に差換えて測定.b)VCC側のペグ(JP3)をショート.
- オシロの設定:第1群との差異は,CH2は未使用.CH1とCH3はレンジを変更.
- 垂直軸:
- CH1(黄): DC1M 2.00V/div 4.00V ofst
- CH3(青): DC1M 20.0mV/div -80mV ofst
- 水平軸:変更なし.
- 資料:
- 2007/10/11,調査結果概要・・・個体差調査の経過報告2(CPAのグラフ等)
- 2008/07/29,室温変動の影響・・・測定データから見える室温変動の影響
波形データ
各々の測定項目/測定ポイントについて,第1群では約4000個,第2群では5000個余の波形を収集しました.このデータを以下に公開します.
- 第1群の波形データ:(準備中)
- AES-11, VCC側の測定データ
- G06 G07 G08 G09 G10 G11 G12 G13 G14 G15
- G16 G17 G18 G19 G20 G21 G22 G23 G24 G25
- G31 G32 G33 G34 G35 G36 G37 G38 G39 G40
- AES-11, GND側の測定データ
- G06 G07 G08 G09 G10 G11 G12 G13 G14 G15
- G16 G17 G18 G19 G20 G21 G22 G23 G24 G25
- G31 G32 G33 G34 G35 G36 G37 G38 G39 G40
- AES-10, VCC側の測定データ
- G06 G07 G08 G09 G10 G11 G12 G13 G14 G15
- G16 G17 G18 G19 G20 G21 G22 G23 G24 G25
- G31 G32 G33 G34 G35 G36 G37 G38 G39 G40
- AES-10, GND側の測定データ
- G06 G07 G08 G09 G10 G11 G12 G13 G14 G15
- G16 G17 G18 G19 G20 G21 G22 G23 G24 G25
- G31 G32 G33 G34 G35 G36 G37 G38 G39 G40
- 第2群の波形データ:(一部公開)
- AES-11, GND側の測定データ
- G01(M, T) G02 G03 G04 G05 G26 G27 G28 G29 G30
- G31 G32 G33 G34 G35 G36 G37 G38 G39 G40
- G41 G42 G43 G44 G45 G46 G47 G48 G49 G50
- G51 G52 G53 G54 G55 G56 G57 G58 G59 G60
- G61 G62 G63 G64 G65 G66 G67 G68 G39 G40
- AES-10, GND側の測定データ
- G01 G02 G03 G04 G05 G26 G27 G28 G29 G30
- G31 G32 G33 G34 G35 G36 G37 G38 G39 G40
- G41 G42 G43 G44 G45 G46 G47 G48 G49 G50
- G51 G52 G53 G54 G55 G56 G57 G58 G59 G60
- G61 G62 G63 G64 G65 G66 G67 G68 G39 G40
1波形は5GSample/secで収集された50kサンプルからなり,10μsecの時間に相当します.1サンプルは8bit長で,オフセット定数とゲインを乗じて測定値(単位V)に変換してあります.
1波形を1ファイルにして,これと平文/暗号文を収めたファイルとをまとめて,ZIPファイルにしました.ZIPファイルのサイズは200~250MByte程です.ZIPファイルの名前とその中味は,下記のとおり:
ZIPファイル名: Gbb_AESgg_ppp_W_fff.zip
格納ファイル : fff/AESgg/Gbb/ppp/W_nnnnnn.fff と fff/AESgg/CTgg.txt
例:
G01_AES11_GND_W_MAT.zip には,
MAT/AES11/G01/GND/W_000001.mat
MAT/AES11/G01/GND/W_000002.mat
:
MAT/AES11/G01/GND/W_005120.mat
と
MAT/AES11/CT11.txt が含まれる.
Gbb の 'bb' は,2桁の数字が入り,ボード番号を示します. AESgg の 'gg' には,11 か 10 が入り,AES-11 か AES-10 かを示します. 'ppp' は,測定ポイントで,VCC か GND が入ります. W_nnnnnn.fff は波形データを収めたファイルで,'nnnnnn' は6桁の数字が入り,平文/暗号文へのインデックスになります.'fff' には mat/txt が入り,MATLAB形式/テキスト形式を示します(ファイル形式の3種類は,今後見直して行き,どれか一つにする予定です).
MATLAB形式のファイルは,matlabのload命令でロードすると変数名 'w' でdouble型,要素数50kの配列になります.
CTgg.txt はAESの平文/暗号文を収めたテキストファイルで,CT11.txt と CT10.txt の2つがあります.CTgg.txt の中にはスペースで区切られた3カラムがあり,左端が波形のファイルのインデックスに対応する nnnnnn,中が平文,右端が暗号文です.平文と暗号文は16進数32桁で16バイトを表します.秘密鍵の値は開示しませんので各自DPAして求めて下 さい.
注意:インデックス nnnnnn は,一見連続していますが,通番ではありません.ボードによってはスキップしていることがあります.
波形データの利用
本波形データは以下の条件の下で自由にコピー・加工して利用して頂いて構いません.
- 本データを利用して何かしらの成果を公開される際には,データの出処(横浜国立大学 大学院環境情報研究院 松本研究室 サセボ個体差調査データ)を表示すること.
本波形データを使って電力差分解析攻撃(Differential Power Analysis,DPA)や電力相関解析攻撃(Correlation Power Analysis,CPA)の実験ができることを確認してあります.新しい解析アルゴリズムの検証などに本データを利用する等により,サイドチャネルセ キュリティの研究が活発になることに役立てることを期待します.
分析ツールとその手引き
関係先へのリンク
本研究に関する問い合わせ先:
改版履歴:
2008.7.31 公開開始.
Copyright(c) 2008, YNU MLAB TRHチーム