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情報・物理セキュリティ研究拠点のご紹介


■概要

横浜国立大学の「情報・物理セキュリティ研究拠点」は、「情報・物理セキュリティ」分野における未解決問題の特定と解決を目指し学術面で貢献するとともに、社会への実展開を志向する、研究実践グループです。また、研究成果を活かしたセキュリティ解析力強化の取組みなど教育面にも力を入れています。 松本 勉 教授(拠点長)、四方順司 教授、吉岡克成 教授をコアメンバとし、関連研究者と大学院および学部学生等から成り立っています。

今日、「情報セキュリティ」という概念とその重要性は広く認知されていますが、現実の問題や技術を合理的に捉えるには、セキュリティの論理的側面に目を向けるだけではなく、論理を支える物理面をも総合的に考えることが必要であると考え、「情報セキュリティ」分野を部分として含む分野を表すために「情報・物理セキュリティ」という用語を採用することとしました。すなわち、情報・物理セキュリティ分野は、少なくとも、論理的セキュリティ、物理的セキュリティ、物理と論理のはざま、理論と実装・実際、ソフトウェアとハードウェア、コンポーネントとシステムとネットワーク、組込みと汎用、といったキーワードで示される分野を包含するものと考えています。

■研究目的

サイバー攻撃等や電子化・情報化に起因する多様なリスクを軽減し、セキュリティが維持された持続可能な社会を構築することは大きな課題です。


●情報の論理的側面と物理的側面や、人の思考・行動をも総合的に考え、人・モノ・データ・お金・ソフトウェア・ハードウェア・ネットワーク・生活・ビジネス・社会に係るセキュリティの基礎から応用までの未解決問題を研究対象としています。

●特に、計算リソースの制約、リアルタイム性のニーズ、ユーザビリティとの相反などにより、従来はセキュリティ技術を導入できなかった厳しい環境においても利用可能となるセキュリティ技術の考案、という重要な課題に取り組んでいます。

●さらに、セキュリティの評価に関し高い納得性が得られるという意味で信頼できるセキュリティ技術の方法論の開拓に取り組んんでいます。

●社会への展開を志向した研究目標群を据え、学術面においても画期的な「情報・物理セキュリティ」技術分野の探求を究め、深化させることを目的としています。

●また、研究を通じてセキュリティ解析力(対象のセキュリティの本質を見抜く直観力と技術力)を強化するための教育方法論の開発を実践することも目的としています。


■研究内容と方法の概要

持続可能性と情報・物理セキュリティ、より厳しい環境でのセキュリティの充実、をキーワードとする、以下のサブテーマ群につきトップレベルの研究を実施しています。


●インフラストラクチャ向け組込みセキュリティ技術の革新

クラウド型情報処理を支える超高速秘密分散ストレージ技術、スマートグリッド等の電力分野におけるリアルタイムセキュリティ技術、自動車の内部ネットワークセキュリティと外部通信セキュリティを強化する技術、サイバーテロ対策、等の研究とその教育方法論開発


●ソフトウェア・ネットワークセキュリティ技術の革新

標的型サイバー攻撃の早期検知、動向把握、攻撃コード・マルウェアの解析、信頼できるネットワーク対応ソフトウェアシステム、機能の不当な改変や秘密データの不当な読出しに強いソフトウェア(耐タンパーソフトウェア)の作成技術、等の研究とその教育方法論開発


●暗号理論の革新

情報理論的セキュリティを有する暗号、多機能公開鍵暗号、セキュアな合成が保証される暗号プロトコル設計論、等の研究とその教育方法論開発


●端末・ハードウェア・人のセキュリティ技術の革新

ハードウェア・デバイスの耐タンパー性・耐クローン性強化、物体と不可分の固有情報抽出技術、人工物メトリクス、バイオメトリクスセキュリティ評価、等の研究とその教育方法論開発


●未知先端課題の探求

未知の重要セキュリティ課題群の発掘と研究実施